私のところにインタビュー取材を申し込んでくる雑誌編集部にも、取材に来たのか非難に来たのかわからないような人が少なからずいる。例えばある ファッション業界誌の年配の男性編集者は、私のところにインタビューに来て開口一番、こう断言した。
「iPadは、あれは売れないですね。重いし、読みにくいじゃないですか。液晶で本を読むなんてあり得ない」
「それはあなたの感覚だと思いますよ。その感覚が今の20代、30代にも当てはまるという根拠はありますか?」
そう私が反論すると、彼は憮然と黙ってしまったのだった。
あるいは別の週刊誌記者。
「電子書籍時代になったら、著者や読者は損をするんじゃないですかね」
「どういう損をすると思うんですか?」
「いや、なんとなくだけど、損をするような気がする」
ネットでも状況は同じ。ツイッター上でも私に対して「雑誌が売れなくなるなんて、お前は無知だ」「外野は好きなことを言えていいよな」などという 非難の声が、出版社員とみられる人たちから寄せられている。私がそうした意見に反論すると、今度は会ったこともない古株フリーライターらしき人物から「対 立を煽るのはもうやめにしたらどうか」などとまた批判される。
毎日のようにこうした根拠のない情緒的な反論にさらされ、正直私の気持ちは疲弊するばかりだ。
ちなみに「外野」というのは出版業界人がよく使う言葉で、例えば業界外の人間がブログで電子書籍について書いたりすると「外野が言っても信頼でき ないんだよな」「外野は無責任だから」といった言い方をする人が、すぐにネット上に現れる。私は本を20冊ぐらいも出していて、あちこちの雑誌に寄稿して おり、出版業界にどっぷり浸って暮らしているが、そういう人間に対しても「外野」という言葉を使うのだ。書き手も読者も印刷会社もみんな外野で、「内野」 は出版社の社員だけということらしい。
黒船が来襲する閉じた出版業界──佐々木俊尚が辟易する『電子書籍の衝撃』への衝撃 - 日刊サイゾー (via tscp) (via kml) (via gkojax) (via nakano) (via tiga) (via uncate)